歴史教科書144~145ページ 4 上方で栄えた町人の元禄文化

教科書



④ 上方(かみがた)で栄えた町人の元禄文化(げんろくぶんか)(教科書144~145ページ)

学習課題
江戸時代前半には、どのような特色をもった文化が展開したのだろうか。
重要年号――最初に確認
17世紀末~18世紀初め:上方(かみがた)の町人を中心に元禄文化(げんろくぶんか)が栄える。
1689年:松尾芭蕉(まつお ばしょう)が『おくのほそ道(おくのほそみち)』の旅に出発する。
1702年:『おくのほそ道(おくのほそみち)』が出版される。
18世紀:農村でひな祭り・端午の節句(たんごのせっく)のこいのぼり・盆踊りなどが定着する。
重要語句――人物・作品・意味を結びつけよう
元禄文化(げんろくぶんか):17世紀末から18世紀初めにかけて、上方(かみがた)の町人が生み出した文化。
上方(かみがた):京都・大阪を中心とする地域。
井原西鶴(いはら さいかく):町人の姿を浮世草子(うきよぞうし)に描いた。
近松門左衛門(ちかまつ もんざえもん):人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)などの台本を書いた。
人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり):浄瑠璃(じょうるり)(物語)・三味線(しゃみせん)・操り人形からなる芸能。
松尾芭蕉(まつお ばしょう):俳諧(はいかい)の芸術性を高め、『おくのほそ道(おくのほそみち)』の旅をした。
菱川師宣(ひしかわ もろのぶ):浮世絵(うきよえ)の祖。代表作は『見返り美人図(みかえりびじんず)』。
俵屋宗達(たわらや そうたつ):『風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)』。
尾形光琳(おがた こうりん):『紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)』『八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)』。
蒔絵(まきえ):漆(うるし)で描いた絵や文様に、金・銀などの粉を蒔く技法。
関孝和(せき たかかず):日本独自の数学「和算(わさん)」で優れた研究を残した。
渋川春海(しぶかわ はるみ):日本独自の新しい暦「貞享暦(じょうきょうれき)」をつくった。
年中行事(ねんちゅうぎょうじ):正月や節句など、毎年決まった時期に行われる行事。
学習課題のまとめ――まず全体像をつかもう
① 文化の担い手:商業の発達と都市の繁栄によって経済的なゆとりをもった、上方(かみがた)の町人。
② 文学・芸能:町人の日常生活を描く浮世草子(うきよぞうし)や、人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)・歌舞伎・俳諧(はいかい)が親しまれた。
③ 絵画・工芸:浮世絵(うきよえ)や、大和絵(やまとえ)の伝統を生かした華麗な装飾画が発展した。
④ 学問・暦:和算(わさん)などの学問が発展し、日本独自の貞享暦(じょうきょうれき)がつくられた。
⑤ 暮らし:年中行事(ねんちゅうぎょうじ)や一日三食、行灯(あんどん)など、現代にも続く生活様式が広まった。

① 元禄文化(げんろくぶんか)の成立

1 17世紀末から18世紀初めにかけて、上方(かみがた)の町人が生み出した文化を何といいますか。
答え
元禄文化(げんろくぶんか)。
【解説】
戦乱の世が終わると、商業が発達し、都市が繁栄しました。年貢(ねんぐ)などで生活を支える武士よりも、町人が経済的なゆとりをもつようになりました。17世紀末から18世紀初めにかけて、経済力や技術力をもつ上方(かみがた)の町人が生み出した文化を元禄文化(げんろくぶんか)といいます。上方(かみがた)とは、京都・大阪を中心とする地域です。

読解トレーニング問題
① 戦乱の世が終わると、商業と都市はそれぞれどうなりましたか。
答え
商業が発達し、都市が繁栄しました。

② 武士は、何などで生活を支えていましたか。
答え
年貢(ねんぐ)など。

③ 上方(かみがた)とは、どの二つの都市を中心とする地域ですか。
答え
京都・大阪。


2 上方(かみがた)の町人が元禄文化(げんろくぶんか)の担い手になったのは、なぜですか。
答え
商業の発達と都市の繁栄によって経済的なゆとりをもち、経済力や技術力を背景に文化を生み出したから。
【解説】
商業が発達し、都市が繁栄したことで、町人は経済的なゆとりをもつようになりました。上方(かみがた)の町人は、その経済力や技術力を背景に新しい文化を生み出しました。町人が社会の担い手となったことから、文学作品にも町人の日常生活が描かれるようになりました。このように、文化の担い手と作品の題材の両方に、町人の存在が大きく表れました。

読解トレーニング問題
① 町人が経済的なゆとりをもつようになった背景を二つ答えなさい。
答え
商業の発達と都市の繁栄。

② 上方(かみがた)の町人は、何を背景に新しい文化を生み出しましたか。
答え
経済力や技術力。

③ 町人が社会の担い手になったことで、文学作品には何が描かれるようになりましたか。
答え
町人の日常生活。


② 文学・芸能

3 金銭や出世を追い求める町人の姿を、「浮世草子(うきよぞうし)」という小説に描いた人物は誰ですか。
答え
井原西鶴(いはら さいかく)。
【解説】
井原西鶴(いはら さいかく)は、大阪の町人でした。西鶴は、金銭や出世を追い求めて喜んだり悲しんだりする町人の姿を、小説に描きました。このような小説は、浮世草子(うきよぞうし)とよばれます。町人の日常生活が文学の題材になったことは、町人が文化の担い手となった元禄文化(げんろくぶんか)の特色を表しています。

読解トレーニング問題
① 井原西鶴(いはら さいかく)は、どこの町人でしたか。
答え
大阪の町人。

② 西鶴が描いた町人は、何を追い求めていましたか。二つ答えなさい。
答え
金銭と出世。

③ 町人の日常生活が文学の題材になったことは、元禄文化(げんろくぶんか)のどのような特色を表していますか。
答え
町人が文化の担い手となったこと。


4 義理と人情の板ばさみになる男女を描いた、人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)などの台本で評判になった人物は誰ですか。
答え
近松門左衛門(ちかまつ もんざえもん)。
【解説】
元禄文化(げんろくぶんか)の時期、町人はその財力で人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)や歌舞伎を楽しむようになりました。人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)は、浄瑠璃(じょうるり)という物語・三味線(しゃみせん)・操り人形からなる芸能です。近松門左衛門(ちかまつ もんざえもん)は、義理と人情の板ばさみになる男女を描いた台本で評判になりました。また、歌舞伎はこの時期に踊りから演劇へと形を変え、町人に親しまれました。

読解トレーニング問題
① 町人が人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)や歌舞伎を楽しむ背景となったものは何ですか。
答え
町人の財力。

② 人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)を構成する三つの要素を答えなさい。
答え
浄瑠璃(じょうるり)という物語・三味線(しゃみせん)・操り人形。

③ 歌舞伎は、この時期に何から何へと形を変えましたか。
答え
踊りから演劇へ。


5 俳諧(はいかい)の芸術性を高め、『おくのほそ道(おくのほそみち)』の旅をした俳人は誰ですか。
答え
松尾芭蕉(まつお ばしょう)。
【解説】
松尾芭蕉(まつお ばしょう)は俳諧(はいかい)の芸術性を高め、俳諧(はいかい)は町人や百姓(ひゃくしょう)の間でも親しまれるようになりました。芭蕉は1689年に弟子を連れて江戸を出発し、東北・北陸を回って大垣(現在の岐阜県)に至る旅をしました。その旅は約5か月、行程は約2400kmに及び、各地で詠んだ句とともに『おくのほそ道(おくのほそみち)』に記されました。『おくのほそ道(おくのほそみち)』は1702年に出版され、俳諧(はいかい)が広まるきっかけとなりました。

読解トレーニング問題
① 俳諧(はいかい)は、どのような人々の間でも親しまれるようになりましたか。
答え
町人や百姓(ひゃくしょう)。

② 芭蕉は江戸を出発した後、どの二つの地方を回り、どこに至りましたか。
答え
東北・北陸を回り、大垣(現在の岐阜県)に至りました。

③ 『おくのほそ道(おくのほそみち)』が出版されたことで、何が広まるきっかけとなりましたか。
答え
俳諧(はいかい)。


③ 絵画・工芸

6 「浮世絵(うきよえ)の祖」とよばれ、『見返り美人図(みかえりびじんず)』を描いた人物は誰ですか。
答え
菱川師宣(ひしかわ もろのぶ)。
【解説】
菱川師宣(ひしかわ もろのぶ)は、役者絵や美人画などで町人の姿を描きました。そのため、浮世絵(うきよえ)の祖とよばれています。師宣の作品『見返り美人図(みかえりびじんず)』には、華やかな着物を着た町人の若い女性が描かれています。浮世絵(うきよえ)は、版画にもなりました。

読解トレーニング問題
① 菱川師宣(ひしかわ もろのぶ)は、どのような絵で町人の姿を描きましたか。二つ答えなさい。
答え
役者絵と美人画。

② 『見返り美人図(みかえりびじんず)』には、どのような人物が描かれていますか。
答え
華やかな着物を着た町人の若い女性。

③ 浮世絵(うきよえ)は、絵画として描かれたほかに、何にもなりましたか。
答え
版画。


7 『風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)』と『紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)』を描いた人物を、それぞれ答えなさい。
答え
『風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)』は俵屋宗達(たわらや そうたつ)、『紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)』は尾形光琳(おがた こうりん)。
【解説】
幕府の成立によって政治の中心が京都から江戸へ移ったため、京都では文化に力を入れる動きが強まりました。俵屋宗達(たわらや そうたつ)や尾形光琳(おがた こうりん)は、屏風(びょうぶ)や蒔絵(まきえ)などに大和絵(やまとえ)の伝統を生かし、華麗な装飾画を描きました。俵屋宗達(たわらや そうたつ)の作品には『風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)』があります。尾形光琳(おがた こうりん)の作品には『紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)』や『八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)』があります。

読解トレーニング問題
① 幕府の成立によって、政治の中心はどこからどこへ移りましたか。
答え
京都から江戸へ。

② 俵屋宗達(たわらや そうたつ)や尾形光琳(おがた こうりん)は、何の伝統を生かしましたか。
答え
大和絵(やまとえ)の伝統。

③ 解説文に挙げられている尾形光琳(おがた こうりん)の作品のうち、屏風(びょうぶ)ではない作品は何ですか。
答え
『八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)』。


④ 学問・暦

8 日本独自の数学を何といい、その分野で優れた研究を残した人物は誰ですか。
答え
和算(わさん)・関孝和(せき たかかず)。
【解説】
徳川綱吉(とくがわ つなよし)が儒学(じゅがく)を奨励したことは、ほかの学問の発展も促しました。その中で、日本独自の数学である和算(わさん)が発展しました。関孝和(せき たかかず)は、和算(わさん)の分野で優れた研究を残しました。和算(わさん)の発達など、国内で科学が発展していたことは、日本独自の暦をつくる背景にもなりました。

読解トレーニング問題
① ほかの学問の発展も促した、徳川綱吉(とくがわ つなよし)が奨励した学問は何ですか。
答え
儒学(じゅがく)。

② 和算(わさん)は、どのような数学ですか。
答え
日本独自の数学。

③ 国内で科学が発展していたことは、何をつくる背景にもなりましたか。
答え
日本独自の暦。


9 中国の古い暦を改め、日本独自の新しい暦「貞享暦(じょうきょうれき)」をつくった人物は誰ですか。
答え
渋川春海(しぶかわ はるみ)。
【解説】
日本では、中国から導入した暦を800年以上使い続けるうちに、暦にくるいが生じました。そのため、儀式や農業などでさまざまな問題が起こりました。幕府は渋川春海(しぶかわ はるみ)に命じて計算と天体観測(てんたいかんそく)をしなおし、日本独自の新しい暦である貞享暦(じょうきょうれき)をつくらせました。暦を改めたことで、月日を正しく確認できるようになりました。

読解トレーニング問題
① 日本では、中国から導入した暦を何年以上使い続けていましたか。
答え
800年以上。

② 暦のくるいによって、どのような場面で問題が起こりましたか。二つ答えなさい。
答え
儀式や農業。

③ 幕府は新しい暦をつくるため、何をしなおすよう命じましたか。
答え
計算と天体観測(てんたいかんそく)。


⑤ 現代に続く年中行事(ねんちゅうぎょうじ)と暮らし

10 正月や節句などの年中行事(ねんちゅうぎょうじ)は、どのような二つの行事が影響し合って生まれましたか。
答え
稲作に関する行事と、中国から伝わった行事。
【解説】
正月や節句などの年中行事(ねんちゅうぎょうじ)は、稲作に関する行事と中国から伝わった行事が影響し合って生まれました。18世紀になると、農村ではひな祭りや端午の節句(たんごのせっく)のこいのぼり、盆踊りなどが定着しました。これらは、日常生活に節目をつける行事として親しまれました。こうした生活様式は、現代にも受け継がれています。

読解トレーニング問題
① 農村でひな祭りや盆踊りなどが定着したのは、何世紀ですか。
答え
18世紀。

② 解説文に挙げられている年中行事(ねんちゅうぎょうじ)を、三つ答えなさい。
答え
ひな祭り・端午の節句(たんごのせっく)のこいのぼり・盆踊り。

③ 年中行事(ねんちゅうぎょうじ)は、日常生活にどのような役割を果たしましたか。
答え
日常生活に節目をつける役割。


11 江戸時代に庶民へ広まった食事の回数と、照明として普及した道具を答えなさい。
答え
一日三食・行灯(あんどん)。
【解説】
江戸時代には、一日二食だった食事を三食にする形が庶民にも広まりました。また、菜種油などを使った行灯(あんどん)が照明として普及しました。行灯(あんどん)が広まったことで、人々は遅くまで働いたり遊んだりできるようになりました。食事の形など、当時広まった生活様式は現代にも受け継がれています。

読解トレーニング問題
① 庶民の食事の回数は、一日何食から何食へと変わりましたか。
答え
一日二食から三食へ。

② 行灯(あんどん)には、どのような油などが使われましたか。
答え
菜種油。

③ 行灯(あんどん)が広まったことで、人々は何ができるようになりましたか。
答え
遅くまで働いたり遊んだりできるようになりました。


⑥ 資料問題――教科書の図・コラムを確認しよう

資料を見るポイント
人物と作品名だけでなく、図に何が描かれているか、どのような技法や道具が使われたかにも注目しましょう。
12 【資料問題・144ページ図1・図2】『風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)』と『紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)』は、それぞれ何を描いた作品ですか。
答え
『風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)』は風神と雷神、『紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)』は紅白の梅を描いた作品。
【解説】
144ページの図1『風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)』には、風神と雷神が描かれています。図2『紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)』には、紅白の梅が描かれています。これらは、俵屋宗達(たわらや そうたつ)や尾形光琳(おがた こうりん)が大和絵(やまとえ)の伝統を生かして描いた、華麗な装飾画の例です。作品名と作者だけでなく、描かれた題材も結びつけて覚えましょう。

読解トレーニング問題
① 『風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)』には、何が描かれていますか。
答え
風神と雷神。

② 『紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)』には、何が描かれていますか。
答え
紅白の梅。

③ これらの装飾画には、何の伝統が生かされていますか。
答え
大和絵(やまとえ)の伝統。


13 【資料問題・145ページ図5・図6】星の位置を測る道具を何といいますか。また、蒔絵(まきえ)では漆(うるし)が乾く前に何を蒔きますか。
答え
渾天儀(こんてんぎ)。蒔絵(まきえ)では、金や銀などの粉を蒔く。
【解説】
145ページの図5に示された渾天儀(こんてんぎ)は、天体観測(てんたいかんそく)で星の位置を測るための道具です。図6の『八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)』は、尾形光琳(おがた こうりん)の作品です。蒔絵(まきえ)では、表面に漆(うるし)で絵や文様、文字などを描きます。その漆(うるし)が乾く前に金や銀などの粉を蒔いて、色をつけます。

読解トレーニング問題
① 渾天儀(こんてんぎ)は、何を測るための道具ですか。
答え
星の位置。

② 『八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)』をつくった人物は誰ですか。
答え
尾形光琳(おがた こうりん)。

③ 蒔絵(まきえ)では、粉を蒔く前に表面に何で絵や文様、文字などを描きますか。
答え
漆(うるし)。


⑦ 学習課題のまとめ問題

学習課題
江戸時代前半には、どのような特色をもった文化が展開したのだろうか。
14 江戸時代前半の元禄文化(げんろくぶんか)について、中心となった人々と地域、文学・芸能、絵画、学問、暮らしの特色をまとめて説明しなさい。
答え
元禄文化(げんろくぶんか)は、17世紀末から18世紀初めにかけて、経済的なゆとりをもった上方(かみがた)の町人を中心に栄えた。浮世草子(うきよぞうし)・人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)・歌舞伎・俳諧(はいかい)などが親しまれ、浮世絵(うきよえ)や華麗な装飾画も発展した。また、和算(わさん)や暦の研究が進み、年中行事(ねんちゅうぎょうじ)や一日三食、行灯(あんどん)など、現代にも続く生活様式が広まった。
【解説】
商業の発達と都市の繁栄によって経済的なゆとりをもった上方(かみがた)の町人は、17世紀末から18世紀初めにかけて元禄文化(げんろくぶんか)を生み出しました。文学や芸能では、町人の日常生活を描く浮世草子(うきよぞうし)や、人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)・歌舞伎・俳諧(はいかい)などが親しまれました。絵画では浮世絵(うきよえ)や華麗な装飾画が発展し、学問では和算(わさん)の研究や日本独自の暦づくりが進みました。さらに、年中行事(ねんちゅうぎょうじ)や一日三食、行灯(あんどん)など、現代にも受け継がれる生活様式が広まりました。

読解トレーニング問題
① 上方(かみがた)の町人が経済的なゆとりをもった背景を二つ答えなさい。
答え
商業の発達と都市の繁栄。

② 解説文に挙げられている文学・芸能を二つ答えなさい。
答え
浮世草子(うきよぞうし)と人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)。(歌舞伎・俳諧(はいかい)でも可)

③ 現代にも受け継がれる生活様式として、解説文に挙げられているものを三つ答えなさい。
答え
年中行事(ねんちゅうぎょうじ)・一日三食・行灯(あんどん)。


重要年号――最後の確認
17世紀末~18世紀初め:元禄文化(げんろくぶんか)が栄える。
1689年:松尾芭蕉(まつお ばしょう)が『おくのほそ道(おくのほそみち)』の旅に出発。
1702年:『おくのほそ道(おくのほそみち)』が出版される。
18世紀:農村でひな祭り・こいのぼり・盆踊りなどが定着。
重要語句――組み合わせの確認
元禄文化(げんろくぶんか) → 上方(かみがた)の町人が生み出した文化
井原西鶴(いはら さいかく) → 浮世草子(うきよぞうし)
近松門左衛門(ちかまつ もんざえもん) → 人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)などの台本
人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり) → 浄瑠璃(じょうるり)(物語)・三味線(しゃみせん)・操り人形
松尾芭蕉(まつお ばしょう) → 俳諧(はいかい)・『おくのほそ道(おくのほそみち)』
菱川師宣(ひしかわ もろのぶ) → 浮世絵(うきよえ)の祖・『見返り美人図(みかえりびじんず)』
俵屋宗達(たわらや そうたつ) → 『風神雷神図屏風(ふうじんらいじんずびょうぶ)』
尾形光琳(おがた こうりん) → 『紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)』・『八橋蒔絵螺鈿硯箱(やつはしまきえらでんすずりばこ)』
蒔絵(まきえ) → 漆(うるし)が乾く前に金・銀などの粉を蒔く技法
関孝和(せき たかかず) → 和算(わさん)
渋川春海(しぶかわ はるみ) → 貞享暦(じょうきょうれき)
渾天儀(こんてんぎ) → 星の位置を測る道具
学習課題のまとめ――暗記する順番
背景:戦乱の世が終わる → 商業が発達し、都市が繁栄する。
↓
文化の担い手:経済的なゆとりをもった上方(かみがた)の町人。
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文学・芸能:浮世草子(うきよぞうし)・人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)・歌舞伎・俳諧(はいかい)。
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絵画・工芸:浮世絵(うきよえ)・大和絵(やまとえ)の伝統を生かした装飾画・蒔絵(まきえ)。
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学問・暦:和算(わさん)の発展・貞享暦(じょうきょうれき)の作成。
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暮らし:年中行事(ねんちゅうぎょうじ)・一日三食・行灯(あんどん)が広まり、現代にも受け継がれる。