■次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
大阪市内では、なぜクマゼミの占める割合が、これほど高くなったのだろうか。
一九六〇年代からの主な変化として挙げられるのが、この地域の都市化、気温上昇、湿度の低下である。
急速な都市化にともない、植物や土で覆われた地面は舗装されてビルや道路になった。
都市化はヒートアイランド現象を引き起こす。
一九六〇年からの五十年間で大阪市の年平均気温は約一度上昇し、湿度は十パーセント近く低下した。
A 、現在の大阪市内は、以前より暑く、乾燥している。 ↩ 問題へ戻る 。
クマゼミは、もともと西日本の温暖な地域に多く生息し、暑さには強いと考えられる。
ヒートアイランド現象による環境変化が有利に働いたのではないだろうか。
私たちは、この点について検証していくことにした。
[前提]クマゼミの一生と、環境の影響を受ける時期
気温や湿度がクマゼミに与える影響を考えるために、まずは、その一生を確認しておこう(図2)。
①①卵の段階 ↩ 問題へ戻る クマゼミは、夏に枯れ枝に産卵する。
卵はやがて休眠に入り、そのまま地上で冬を越す。
②孵化して土に潜る段階 休眠を終えた卵は、春、気温が上がると体を作り始め、梅雨から夏にかけて孵化する。
②雨の日に孵化し、幼虫はすぐ土に潜る ↩ 問題へ戻る 。
③幼虫として地中で過ごす段階 植物の根から栄養を取り、七年ほどかけて成長する。
④地上に出て成虫になる段階 幼虫は夏に地上に出て羽化し、 B ↩ 問題へ戻る して一生を終える。
この中で、気温や湿度の影響を受けやすいのは、地上で外気にさらされる①②④の段階であると推定できる。
特に、小さく未熟な状態である①と②は危険だ。
①の卵は野外で冬を越すため、厳しい寒さに耐える必要がある。
また、②の孵化したばかりの幼虫は弱く、一時間以内に地中に潜らないと、アリに襲われたり乾燥したりして死んでしまう。
そのときの環境に、生存が ③左右される ↩ 問題へ戻る おそれがあるのだ。
[仮説1]冬の寒さの緩和
私たちはまず、地上で冬を越す「①卵の段階」に注目し、次のような仮説を立てた。
その結果、なんと氷点下二十一度に一日置いても、大部分が生き延びることがわかった(図3)。
次に、長く続く寒さへの耐性を調べた。
観測史上、大阪市の一か月の平均気温が零度を下回ったことはない。
そこで、それより低い氷点下五度に三十日間置いてみたが、 ④特に影響は見られなかった ↩ 問題へ戻る (図4)。
しかし、これらは全て実験室で得た結果だ。
気温や湿度が変動する野外の冬に耐えられる保証はない。
そこで、二〇〇五年九月、私たちはクマゼミの卵を大阪市および大阪市より気温の低い東大阪市の枚岡山に置き、一年後に孵化した数を調べた。
その結果、より寒い枚岡山でも孵化率は下がらなかった(図5)。
十二月から二月までの大阪市の平均気温は五・五度、枚岡山は三・七度。
枚岡山は一九六〇年代の大阪市内より少し寒いにもかかわらず、クマゼミの卵は問題なく越冬することができた。
これらの結果は、クマゼミの卵が寒さに強く、かつての大阪でも十分越冬できたことを示している。
つまり、冬の寒さの緩和はクマゼミ増加の原因ではない。
仮説が明確に否定されたことで可能性が一つ排除され、その分、原因を絞り込むことができた。
ウ 決定的な影響を与えられる エ 明確に形作られる
(6) 【仮説1】を検証するための実験の結果が次の三つの図である。
これらを図3〜図5の実験の順に並べ替えて、記号で答えよ。[6]
イ 氷点下のような寒さが長く続いても、卵の孵化率は下がらないこと。
ウ 氷点下のような寒さが続かない限り、卵の孵化率は下がらないこと。
エ 氷点下ほどの寒さが続く限り、卵の孵化率は上がらないこと。
(8) 【仮説1】に対する実験を経て、クマゼミ増加の原因に関してわかったことを文章中の言葉を使って、四十字以内で答えよ。[8]
大阪市内では、なぜクマゼミの占める割合が、これほど高くなったのだろうか。
一九六〇年代からの主な変化として挙げられるのが、この地域の都市化、気温上昇、湿度の低下である。
急速な都市化にともない、植物や土で覆われた地面は舗装されてビルや道路になった。
都市化はヒートアイランド現象を引き起こす。
一九六〇年からの五十年間で大阪市の年平均気温は約一度上昇し、湿度は十パーセント近く低下した。
A 、現在の大阪市内は、以前より暑く、乾燥している。 ↩ 問題へ戻る 。
クマゼミは、もともと西日本の温暖な地域に多く生息し、暑さには強いと考えられる。
ヒートアイランド現象による環境変化が有利に働いたのではないだろうか。
私たちは、この点について検証していくことにした。
[前提]クマゼミの一生と、環境の影響を受ける時期
気温や湿度がクマゼミに与える影響を考えるために、まずは、その一生を確認しておこう(図2)。
①①卵の段階 ↩ 問題へ戻る クマゼミは、夏に枯れ枝に産卵する。
卵はやがて休眠に入り、そのまま地上で冬を越す。
②孵化して土に潜る段階 休眠を終えた卵は、春、気温が上がると体を作り始め、梅雨から夏にかけて孵化する。
②雨の日に孵化し、幼虫はすぐ土に潜る ↩ 問題へ戻る 。
③幼虫として地中で過ごす段階 植物の根から栄養を取り、七年ほどかけて成長する。
④地上に出て成虫になる段階 幼虫は夏に地上に出て羽化し、 B ↩ 問題へ戻る して一生を終える。
この中で、気温や湿度の影響を受けやすいのは、地上で外気にさらされる①②④の段階であると推定できる。
特に、小さく未熟な状態である①と②は危険だ。
①の卵は野外で冬を越すため、厳しい寒さに耐える必要がある。
また、②の孵化したばかりの幼虫は弱く、一時間以内に地中に潜らないと、アリに襲われたり乾燥したりして死んでしまう。
そのときの環境に、生存が ③左右される ↩ 問題へ戻る おそれがあるのだ。
[仮説1]冬の寒さの緩和
私たちはまず、地上で冬を越す「①卵の段階」に注目し、次のような仮説を立てた。
[仮説1]クマゼミの卵は寒さに弱く、昔の大阪では冬を越せるものが少なかった。
しかし、気温上昇で寒さが和らぎ、越冬できる卵が増えた。
この仮説を検証するために、私たちはクマゼミの卵がどれぐらいの低温に耐えられるかを実験してみた。しかし、気温上昇で寒さが和らぎ、越冬できる卵が増えた。
その結果、なんと氷点下二十一度に一日置いても、大部分が生き延びることがわかった(図3)。
次に、長く続く寒さへの耐性を調べた。
観測史上、大阪市の一か月の平均気温が零度を下回ったことはない。
そこで、それより低い氷点下五度に三十日間置いてみたが、 ④特に影響は見られなかった ↩ 問題へ戻る (図4)。
しかし、これらは全て実験室で得た結果だ。
気温や湿度が変動する野外の冬に耐えられる保証はない。
そこで、二〇〇五年九月、私たちはクマゼミの卵を大阪市および大阪市より気温の低い東大阪市の枚岡山に置き、一年後に孵化した数を調べた。
その結果、より寒い枚岡山でも孵化率は下がらなかった(図5)。
十二月から二月までの大阪市の平均気温は五・五度、枚岡山は三・七度。
枚岡山は一九六〇年代の大阪市内より少し寒いにもかかわらず、クマゼミの卵は問題なく越冬することができた。
これらの結果は、クマゼミの卵が寒さに強く、かつての大阪でも十分越冬できたことを示している。
つまり、冬の寒さの緩和はクマゼミ増加の原因ではない。
仮説が明確に否定されたことで可能性が一つ排除され、その分、原因を絞り込むことができた。
(1)
A
にあてはまる言葉として最も適当なものを次の中から選び、記号で答えよ。[1]
ア つまり イ ただし ウ それから エ たとえば答え
ア
【解説】
前の内容を受けて、「つまり、環境変化が有利に働いたのではないか」とまとめているので、「つまり」が最も自然です。
【解説】
前の内容を受けて、「つまり、環境変化が有利に働いたのではないか」とまとめているので、「つまり」が最も自然です。
(2)
――― 線①「卵の段階」
では、卵にどのような危険があるか。その危険を表している一文を文章中から抜き出せ。[2]
答え
①の卵は野外で冬を越すため、厳しい寒さに耐える必要がある。
【解説】
卵は地上で冬を越すため、寒さの影響を受けます。したがって、危険は「厳しい寒さに耐える必要がある」ことです。
【解説】
卵は地上で冬を越すため、寒さの影響を受けます。したがって、危険は「厳しい寒さに耐える必要がある」ことです。
(3)
――― 線②「雨の日に孵化し、幼虫はすぐ土に潜る」
とあるが、その理由を文章中の言葉を使って答えよ。ただし、「乾燥」という語を必ず用いること。[3]
答え
孵化したばかりの幼虫は弱く、短時間以内に地中に潜らないと、アリに襲われたり乾燥したりして死んでしまうから。
【解説】
孵化したばかりの幼虫は弱いため、雨の日に孵化してすぐ土に潜ることで、乾燥やアリから身を守っています。
【解説】
孵化したばかりの幼虫は弱いため、雨の日に孵化してすぐ土に潜ることで、乾燥やアリから身を守っています。
(4)
B
にあてはまる言葉を、文章中から二字で抜き出せ。[4]
答え
産卵
【解説】
本文では、「幼虫は夏に地上に出て羽化し、( )して一生を終える。」とあります。
クマゼミの成虫は、羽化した後に卵を産んで次の世代を残します。
文章中で「卵を産むこと」を表す二字の言葉は「産卵」なので、これが入ります。
前の「夏に枯れ枝に産卵する」という説明ともつながっています。
【解説】
本文では、「幼虫は夏に地上に出て羽化し、( )して一生を終える。」とあります。
クマゼミの成虫は、羽化した後に卵を産んで次の世代を残します。
文章中で「卵を産むこと」を表す二字の言葉は「産卵」なので、これが入ります。
前の「夏に枯れ枝に産卵する」という説明ともつながっています。
(5)
――― 線③「左右される」
の意味として最も適当なものを次の中から選び、記号で答えよ。[5]
ア 中途半端にされる イ 適応させられるウ 決定的な影響を与えられる エ 明確に形作られる
答え
ウ
【解説】
「左右される」は、「物事の結果が大きく影響を受ける」という意味です。
【解説】
「左右される」は、「物事の結果が大きく影響を受ける」という意味です。
(6) 【仮説1】を検証するための実験の結果が次の三つの図である。
これらを図3〜図5の実験の順に並べ替えて、記号で答えよ。[6]
答え
イ → ウ → ア
【解説】
図3は低温に一日置いた実験、図4は寒さが長く続いた場合の実験、図5は大阪市内と枚岡山で比べた野外実験です。
【解説】
図3は低温に一日置いた実験、図4は寒さが長く続いた場合の実験、図5は大阪市内と枚岡山で比べた野外実験です。
(7)
――― 線④「特に影響は見られなかった」
とあるが、どういうことか。最も適当なものを次の中から選び、記号で答えよ。[7]
ア 氷点下ほどの寒さが長く続いても、卵の孵化率に全く変化がないこと。イ 氷点下のような寒さが長く続いても、卵の孵化率は下がらないこと。
ウ 氷点下のような寒さが続かない限り、卵の孵化率は下がらないこと。
エ 氷点下ほどの寒さが続く限り、卵の孵化率は上がらないこと。
答え
イ
【解説】
本文では、氷点下五度に三十日間置いても孵化率は下がらなかったと説明されています。
【解説】
本文では、氷点下五度に三十日間置いても孵化率は下がらなかったと説明されています。
(8) 【仮説1】に対する実験を経て、クマゼミ増加の原因に関してわかったことを文章中の言葉を使って、四十字以内で答えよ。[8]
答え
冬の寒さの緩和はクマゼミ増加の原因ではない。
【解説】
実験の結果、クマゼミの卵は寒さに強く、昔の大阪でも越冬できたことがわかりました。したがって、気温上昇による冬の寒さの緩和は原因ではないと判断できます。
【解説】
実験の結果、クマゼミの卵は寒さに強く、昔の大阪でも越冬できたことがわかりました。したがって、気温上昇による冬の寒さの緩和は原因ではないと判断できます。
