地理教科書 64ページ 2 巨大な人口が支える中国

教科書
学習課題
中国経済はどのように発展したのでしょうか。
また、どのような課題があるでしょうか。

巨大人口がもたらす発展
中国人口は約14億人で、東部平野集中しています。
中国人の約90%が漢族で、ほかの少数民族は主に西部生活しています。
東部平野では農業が盛んで、長江流域(ちょうこうりゅういき)の華中(かちゅう)の地域や、チュー川(珠江(しゅこう))流域(りゅういき)の華南(かなん)の地域では、稲作栽培が、黄河流域(こうがりゅういき)の華北(かほく)の地域や東北地方(とうほくちほう)では、小麦大豆などの畑作が行われています。
農作物が育ちにくい西部牧畜が中心です。
1970年代末まで、中国農業工業政府計画に沿って生産が行われていましたが、国の経済的発展につながりませんでした。
そこで、1980年代ごろから改革が進められ、シェンチェン(深圳(しんせん))やアモイなどに、外国企業を受け入れる経済特区を設けたり、シャンハイ(上海(しゃんはい))やティエンチン(天津(てんしん))などに、外国の企業と共同経営する工場を造ったりして、工業化を進めました。
こうして中国は、外国企業進出を積極的に受け入れながら、巨大人口背景に、賃金が安く豊富な労働力を生かして工業製品生産し、世界各地輸出する工業国成長したことで、「世界の工場」とよばれるようになりました。
しかし、長年にわたる「一人っ子政策」などの影響人口増加が抑えられてきたため、少子高齢化も急速に進んできています。

都市化環境問題
経済成長によって、農村からの出かせぎ労働者などが集まったことで、多くの都市では人口が増加し、都市の周辺では工場住宅建設が相次ぎました。
こうした急速な都市化環境対策が追いつかず、工場自動車家庭からの排煙排ガス排水による大気河川汚染など、深刻な環境問題が起こりました。
中国政府は、工場への規制を強めたり、再生可能エネルギーを積極的に導入するなど、環境対策に力を入れています。

格差拡大内陸部開発
沿岸部都市が成長する一方で、工業化が後れている内陸部農村には仕事と収入を求めて都市に出かせぎに行く人々が多くいます。
中国では、こうした沿岸部内陸部との経済格差の広がりが大きな問題になっています。
中国政府は、地域間格差をなくすために、2000年ごろから内陸部大規模開発を始めました。
鉄道道路などの交通網整備し、自動車工場などを建設することで、多くの人に仕事を生み出す産業育成にも力が入れられています。

もっと解説 経済特区
経済特区中国沿岸部に特別に設けられた地区のことで、外国から資本技術を積極的によびこむために税金を安くするなどして、多くの外国企業進出しました。

もっと解説 一人っ子政策
1970年代末から、一組夫婦どもを一人に制限する「一人っ子政策」が行われてきました。
少子高齢化が急速に進んだため、全ての夫婦が3人までのどもを持つことが認められるようになりました。
授業
今日は中国の経済の発展と、発展の中で生まれた課題を学習します。
学習課題は「中国の経済はどのように発展したのか。どのような課題があるのか」です。
授業の最後に、なぜ中国が『世界の工場』とよばれたのか、そして今どんな問題が深刻なのかを、自分の言葉で説明できるようにします。

中国の人口と分布(経済の土台)
中国の人口は約14億人で、とても多いことが大きな特徴です。
この人口は国の市場(物を買う人の多さ)にもなり、働く人の多さにもなります。
人口は主に東部の平野に集中しています。平野は土地が平らで、農業や都市・工場を広げやすいからです。
民族は中国人の約90%漢族で、ほかの少数民族は主に西部で生活しています。
ここはテストで「人口が多い」「東部に集中」「漢族が約90%」がよく問われます。

農業の地域差(東部と西部のちがい)
次に、地域ごとの農業を整理します。ここは地図問題で出やすいです。
東部の平野は農業が盛んです。
長江流域(ちょうこうりゅういき)華中(かちゅう)チュー川(珠江(しゅこう))流域(りゅういき)華南(かなん)稲作の栽培
黄河流域(こうがりゅういき)華北(かほく)東北地方(とうほくちほう)小麦大豆などの畑作
一方で、西部は農作物が育ちにくい地域が多く、牧畜が中心です。

テストに出るポイントは、
長江の華中・チュー川の華南 = 稲作・茶
黄河の華北・東北 = 小麦・大豆
西部=牧畜
のセットです。

経済の転換(計画→改革)
中国の経済が大きく変わる前は、1970年代末まで、農業も工業も政府の計画に沿って生産する計画経済の形でした。
しかし、これだけでは国の経済的な発展につながりにくいという問題がありました。
そこで、1980年代ごろから改革が進められます。ここが「発展の理由」として超重要です。
改革の中心は、外国企業を受け入れやすいしくみをつくったことです。
具体的には、経済特区をつくりました。例としてシェンチェン(深圳(しんせん))アモイがあります。
また、シャンハイ(上海(しゃんはい))ティエンチン(天津(てんしん))などでは、外国の企業と共同で経営する工場を造り、工業化を進めました。
ここで重要なのは、外国の資本技術を取り入れて、工場での生産を増やした点です。

なぜ「世界の工場」になったのか(学習課題の答え①)
学習課題の前半「中国の経済はどのように発展したか」の答えをまとめます。
中国は、外国企業の進出を積極的に受け入れ、巨大な人口を背景に、賃金が安く豊富な労働力を生かして大量の工業製品を生産しました。
そして、それを世界各地に輸出することで工業国として成長し、「世界の工場」とよばれるようになりました。
テストでよくある説明問題は、次の流れです。
改革(経済特区・外国企業の受け入れ)安い労働力で大量生産輸出工業国へ成長世界の工場
また「もっと解説」より、経済特区は沿岸部に特別に設けた地区で、外国から資本や技術をよびこむために税金を安くするなどして、外国企業が進出した点も押さえます。

都市化と環境問題(学習課題の答え②:課題)
次に、発展の中で起きた課題です。
経済成長で、農村から出かせぎ労働者が都市に集まり、都市の人口が増えました。これが都市化です。
都市の周辺では工場や住宅の建設が相次ぎましたが、急速すぎて環境対策が追いつきませんでした。
その結果、工場や自動車、家庭からの排煙排ガス、そして排水によって、大気河川・湖の汚染などの深刻な環境問題が起こりました。
中国政府は、工場への規制を強めたり、再生可能エネルギーを導入したりして、環境対策に力を入れています。
テストでは「都市化→環境問題」の因果関係が問われやすいです。

格差の拡大と内陸部の開発(学習課題の答え②:課題)
もう1つの大きな課題は、地域間格差です。
沿岸部の都市が成長する一方で、工業化が遅れた内陸部の農村では、仕事と収入を求めて都市に出かせぎに行く人が多くいます。
このように、中国では沿岸部と内陸部の経済格差が大きな問題になっています。
そこで中国政府は、格差をなくすために2000年ごろから内陸部の大規模な開発を始めました。
具体的には、鉄道道路などの交通網を整備し、自動車工場などを建設して、仕事を生み出す産業の育成に力を入れています。
テストに出るポイントは、格差(沿岸部↔内陸部)と、対策の内陸部開発(2000年ごろから)です。

人口問題(少子高齢化)と一人っ子政策
発展の背景に人口がありましたが、人口は課題にもなっています。
長年の一人っ子政策などの影響で、人口増加が抑えられ、少子高齢化が急速に進んできています。
「もっと解説」より、1970年代末から一組の夫婦の子どもを一人に制限する一人っ子政策が行われてきました。
その後、少子高齢化が進んだため、すべての夫婦が3人までの子どもを持つことが認められるようになりました。
ここは「政策→結果(少子高齢化)」のつながりを説明できるようにします。

まとめ(学習課題への答えと解説)
学習課題「中国の経済はどのように発展したのか。どのような課題があるのか」への答えです。
どのように発展したのか:1980年代ごろから改革を進め、経済特区をつくって外国企業を受け入れ、安い賃金で豊富な労働力を生かして工業製品を大量生産し、世界へ輸出することで、世界の工場とよばれる工業国に成長しました。
どのような課題があるのか:急速な都市化による環境問題沿岸部と内陸部の格差、さらに一人っ子政策などの影響による少子高齢化が課題です。
テストで最後に押さえる重要語句は、経済特区世界の工場都市化環境問題格差内陸部の開発一人っ子政策少子高齢化です。
テスト対策 ポイント
今日の単元は、「巨大な人口が支える中国」です。
この単元では、中国の人口の特徴農業の地域的なちがい工業化の進み方、そして経済成長によって生じた課題が、定期テストで問われます。
特に、問題集(PDF)で赤字になっている語句は、語句そのものだけでなく、「なぜそう呼ばれるのか」「どの地域に関係するのか」まで理解することが重要です。
今日は、問題文を読めば正しい語句を選べる力をつけることを目標にします。

重要語句の解説
※ここからは、PDFの赤字語句を中心に、1語句ずつ確認します。

漢民族(漢族)
意味:中国に住む民族の中で、人口の約9割を占める民族です。
教科書本文の説明:中国では多くの人が漢民族で、主に沿岸部の大都市や平野に住んでいます。
テストでの聞かれ方:「中国の人口の約9割を占める民族は何か」→漢民族(漢族)

少数民族
意味:漢民族以外の民族のことです。
教科書本文の説明:チベット族やウイグル族などの少数民族は、主に内陸部で生活しています。
テストでの聞かれ方:「内陸部に多く住む民族は何とよばれるか」→少数民族

稲作
意味:稲を育てる農業です。
教科書本文の説明:中国では、長江流域の華中チュー川流域の華南を中心に稲作がさかんです。
テストでの聞かれ方:「長江流域や華中・華南でさかんな農業は何か」→稲作

畑作
意味:小麦や大豆などを育てる農業です。
教科書本文の説明:黄河流域の華北東北地方では、畑作が中心です。
テストでの聞かれ方:「黄河流域や華北でさかんな農業は何か」→畑作

牧畜
意味:家畜を飼って生活する農業の形です。
教科書本文の説明:農作物が育ちにくい西部(内陸部)では、牧畜が行われています。
テストでの聞かれ方:「中国の西部でさかんな農業は何か」→牧畜

一人っ子政策
意味:一組の夫婦の子どもを一人に制限した政策です。
教科書本文の説明:1970年代末から行われ、人口増加をおさえましたが、少子高齢化が進みました。
テストでの聞かれ方:「1970年代末から行われた人口政策は何か」→一人っ子政策

経済特区
意味:外国企業を受け入れるために特別に設けられた地区です。
教科書本文の説明:シェンチェン(深圳)などの沿岸部に設けられ、工業化が進みました。
テストでの聞かれ方:「外国企業を積極的に受け入れるために設けた地区は何か」→経済特区

世界の工場
意味:工業製品を大量に生産し、世界に輸出する国を表す言葉です。
教科書本文の説明:中国は安い賃金と豊富な労働力を生かし、工業製品を世界中に輸出しました。
テストでの聞かれ方:「工業製品を世界中に輸出する中国は何とよばれるか」→世界の工場

世界の市場
意味:生産した製品を自国内でも大量に消費する市場をもつ国のことです。
教科書本文の説明:中国は経済成長により、国内での消費も増えました。
テストでの聞かれ方:「中国が生産した製品を国内でも消費するようになり、何とよばれるようになったか」→世界の市場

経済格差
意味:地域によって収入や生活の差があることです。
教科書本文の説明:沿岸部内陸部の間で、経済格差が広がっています。
テストでの聞かれ方:「中国で問題となっている、沿岸部と内陸部の差を何というか」→経済格差

大気汚染
意味:空気が汚れることです。
教科書本文の説明:工業化や自動車の増加により、環境問題が深刻になりました。
テストでの聞かれ方:「中国で問題となっている環境問題の一つは何か」→大気汚染

テストに直結する確認(10分)
・「約9割」「民族」とあれば、漢民族(漢族)です。
・「外国企業」「沿岸部」「特別な地区」という条件がそろえば、経済特区です。
・「工業製品を世界に輸出」→世界の工場、「国内でも消費」→世界の市場と考えます。
問題文の条件と語句を結びつけて考えることが大切です。

④ まとめ
今日の最重要語句は、次の5つです。
漢民族(漢族)
稲作
経済特区
世界の工場
経済格差
定期テスト前には、語句の意味どんな聞かれ方をするかをセットで整理して覚えましょう。
ポイント 1 特徴

Q1. 人口:14億人以上で世界最多
   ↓
   1970年代末から (   ) で急速な人口増加をおさえたが,
   少子高齢化が進行し労働力が不足したため,2015年に廃止
答え
一人っ子政策

Q2. 民族:約9割が (   ) で,主に沿岸部の大都市や平野に住み,
   他の民族(チベット族,ウイグル族などの少数民族)は主に内陸部に住む
答え
漢民族(漢族)

ポイント 2 農業

Q3. 稲作: (   ) 流域など華中,チュー川流域など華南中心
答え
長江

Q4. 畑作: (   ) 流域など華北,東北が中心
   小麦・大豆・とうもろこし・こうりゃんなどを栽培
答え
黄河

ポイント 3 工業

Q5. 計画経済(共産主義)だったが発展せず,
1970年代末からは自由経済(資本主義)を導入
   ↓
外国企業を積極的に受け入れ,
沿岸部に (   ) を設ける
答え
経済特区

Q6. 1990年代から急速な経済成長
世界中に工業製品を輸出して「 (   ) 」と呼ばれる
答え
世界の工場

Q7. 生産・輸出していた製品を中国国内でも消費
「 (   ) 」と呼ばれる
答え
世界の市場

Q8. 課題:沿岸の大都市と内陸の農村部の (   )
   経済発展に伴う (   ) ・水質汚濁などの環境問題
答え
経済格差・大気汚染

確認テスト

Q9. 中国に住む民族の中で,約9割を占めるのは何か。
答え
漢民族(漢族)

Q10. 中国が経済発展のために外国企業を積極的に受け入れ,沿岸部に設けた地区を何というか。
答え
経済特区

Q11. 1990年代から急速な経済成長をした中国が世界中に工業製品を輸出したことで,中国は何と呼ばれるようになったか。
答え
世界の工場

Q12. 中国で生産・輸出していた製品を国内でも消費するようになったことで,中国は何と呼ばれるようになったか。
答え
世界の市場

Q13. 中国の長江流域など,華中・華南でさかんな農業は何か。
答え
稲作

Q14. 中国の黄河流域など,華北・東北でさかんな農業は何か。
答え
畑作

Q15. 中国で1970年代末から行われた,人口に関する政策は何か。
答え
一人っ子政策