地理教科書 98ページ 2 発展に向けた課題

教科書 98ページ



教科書 本文
変わりつつあるアフリカ
発展に向けた課題

学習課題
アフリカが発展していくうえで、どのような課題があるでしょうか。

民族分布と国境
アフリカには、独自の言語を持つ多くの民族が暮らしています。
一方で、英語やフランス語などの、植民地として支配した国の言語を公用語にする国が多くあります。
国内でちがう民族の間で言葉が通じないと不便なため、テレビや新聞、学校では公用語が使われます。
いくつかの民族が暮らす国では、民族どうしの対立が起こることもあり、現在も紛争や内戦が続いている国もあります。
この原因の一つは、植民地時代にヨーロッパの国々が、民族の分布を無視して境界線を引いたことです。
内戦で難民の問題も発生し、先進国や非政府組織(NGO)が解決に取り組んでいます。

人口増加とさまざまな課題
アフリカの人口は増え続けていますが、砂漠化や不順な天候の影響で農作物の生産量が一時的に減ると、食料不足が起こります。
十分に栄養がとれていない人々も多く、病気に対する抵抗力が弱いため、高齢者や子どもは風邪が悪化して死亡することもあります。
先進国やNGOは医療支援にも取り組んでいます。
現代のアフリカでは、多くの人々が農村から都市へと移り住み、各国の首都を中心に、都市に人口が集中しています。
移り住んだ人々の多くが安い賃金で働き、簡単な造りの家に住んでおり、こうした家が集まるスラムの生活環境は悪い状態にあります。
国際的な支援もありますが、上下水道や交通などの整備は後れています。
一方で、都市化が進み、スマートフォンなどの情報通信ネットワークが急速に整備され、都市だけでなく農村にも広がっています。
環境問題も深刻です。
食料不足への対応のために森林や草原を農地にしたことは、野生の動植物の減少につながっています。

発展のための取り組み
アフリカの国々は、共通の問題を協力して解決し、EUを参考にした地域統合も目指す目的で、2002年にアフリカ連合(AU)を結成し、発展に向けた努力をしています。
欧米の国々や中国は、アフリカに対して食料や、開発のための援助を行っています。
日本も、政府やNGOが、道路や水道、電気といったインフラの整備や、学校、病院の建設、稲作の普及などに、資金や技術を援助しています。
また、一方的な支援だけでなく、音楽などの文化を通じた交流も盛んになっています。
 
授業
まず、ページの上にある写真を見てください。
同じ都市の写真が2枚並んでいます。
左は「ナイロビの中心部」、右は「生活環境の整備が遅れている地域」です。

左の写真を見ると、高いビルや道路が整備されていて、発展している様子が分かります。
一方で、右の写真を見ると、簡単な建物が並び、道も整っていないことが分かります。

ここから何が言えるでしょうか。

👉同じ都市の中でも、豊かな地域とそうでない地域の差があるということです。

これを「格差」といいます。
アフリカの都市では、このような格差が大きな課題になっています。


次に、左下の写真を見てください。
アラビア語とフランス語で書かれた看板があります。

これは「ごみを捨てないで」という意味です。
ここで注目してほしいのは「言語」です。

なぜ2つの言語が使われているのでしょうか。

👉アフリカでは、もともとの民族の言葉とは別に、植民地時代の言語(英語・フランス語など)が使われているからです。

つまり、言葉が違う民族が同じ国の中で暮らしているということです。


次に、その下の地図を見てください。
ナイジェリア周辺の民族の分布と国境線です。

よく見ると、民族の分布と国境線が一致していません。

👉本来なら、同じ民族は同じ国にまとまる方が生活しやすいはずです。

しかし実際には、違う民族が同じ国に入ってしまっています。

これはなぜでしょうか。

👉ヨーロッパの国が、民族を無視して国境を決めたからです。

その結果、民族どうしの対立や紛争が起こる原因になっています。


次に、ページ右側の本文と写真を見ていきます。

都市に人口が集中していると書かれています。
そして、多くの人が安い賃金で働き、簡単な家に住んでいるとあります。

ここで、最初に見た右の写真を思い出してください。

👉あれが「スラム」と呼ばれる地域です。

スラムでは、上下水道や道路が整っておらず、生活環境が悪いという問題があります。


次に、右ページの資料を見てください。
まずは「世界の乳児死亡率」の地図です。

アフリカの多くの地域で、色が濃くなっています。

👉これは乳児死亡率が高いことを示しています。

つまり、医療や栄養の問題がまだ大きいということです。


次に、グラフを見てください。
ルワンダの一人あたり国民総所得の変化です。

グラフを見ると、途中で大きく下がっています。
これは紛争の影響です。

しかしその後、上昇しています。

👉これは、インターネットなどの整備によって経済が発展したからです。

つまり、アフリカは問題がある一方で、発展も進んでいるということです。


最後に、右下の写真を見てください。
アフリカ連合(AU)の本部です。

これはアフリカの国々が協力するための組織です。

👉ヨーロッパのEUのように、協力して問題を解決しようとしているのです。


では、まとめです。

アフリカでは
・都市の格差
・民族対立
・食料や医療の問題
・環境問題

といった課題があります。

一方で
・インターネットの普及
・国どうしの協力
・国際支援

によって、発展も進んでいます。

👉つまり
「課題と発展が同時に進んでいる地域」
これが今のアフリカの特徴です。

発展に向けた課題

Q1. アフリカが発展していくうえで、学習課題として考えるべきことは何ですか。
答え
アフリカが発展していくうえで、どのような課題があるか。
【解説】
このページでは、アフリカの発展を考えるときに、民族、国境、人口増加、食料不足、都市化、環境問題、支援の取り組みをまとめて学びます。
単に「発展しているか」ではなく、「発展するために何が問題になっているか」を考えることが大切です。

Q2. アフリカには、どのような民族が暮らしていますか。
答え
独自の言語を持つ多くの民族が暮らしている。
【解説】
アフリカには多くの民族がいて、それぞれの言語や文化を持っています。
そのため、一つの国の中でも言葉や文化が異なる人々が暮らしていることがあります。

Q3. アフリカの多くの国で、英語やフランス語などが公用語にされている理由は何ですか。
答え
国内でちがう民族の間で言葉が通じないと不便なため。
【解説】
多くの民族が暮らす国では、民族ごとに言語が違うことがあります。
そこで、学校、新聞、テレビなどでは共通して使える公用語が必要になります。
英語やフランス語が使われるのは、かつて植民地として支配した国の言語だったためです。

Q4. アフリカで現在も紛争や内戦が続いている原因の一つは何ですか。
答え
植民地時代にヨーロッパの国々が、民族の分布を無視して境界線を引いたこと。
【解説】
本来、民族のまとまりと国境線が一致していれば、同じ文化や言語を持つ人々が一つの国にまとまりやすくなります。
しかし、植民地時代にヨーロッパの国々が自分たちの都合で国境線を引いたため、一つの国の中に対立しやすい民族が入ったり、同じ民族が別々の国に分かれたりしました。
これが民族対立や内戦の原因の一つになっています。

Q5. 内戦によって発生する問題として、本文に書かれているものは何ですか。
答え
難民の問題。
【解説】
内戦が起こると、家や土地を失い、安全な場所へ逃げなければならない人々が出ます。
このような人々を難民といいます。
難民問題は、その国だけでなく周辺の国や国際社会にも関わる大きな問題です。

Q6. 紛争や内戦、難民の問題の解決に取り組んでいるのは、どのような組織ですか。
答え
先進国や非政府組織、NGO。
【解説】
NGOとは、政府ではない立場で国際協力や支援を行う団体のことです。
紛争や内戦によって困っている人々に対して、食料、医療、教育などの支援を行います。

Q7. アフリカで食料不足が起こる原因として、本文に書かれているものは何ですか。
答え
砂漠化や不順な天候の影響で農作物の生産量が一時的に減ること。
【解説】
砂漠化とは、土地が乾燥して作物が育ちにくくなることです。
不順な天候とは、雨が少なすぎたり多すぎたりして、農業に悪い影響が出ることです。
農作物の生産量が減ると、人々に十分な食料が行きわたらなくなり、食料不足が起こります。

Q8. 十分に栄養がとれていない人々が多いと、どのような問題が起こりますか。
答え
病気に対する抵抗力が弱くなり、高齢者や子どもは風邪が悪化して死亡することもある。
【解説】
栄養が不足すると、体を守る力が弱くなります。
そのため、普通なら治る病気でも重くなりやすくなります。
特に高齢者や子どもは体力が弱いため、命に関わることがあります。

Q9. 医療支援に取り組んでいるのは、どのような人々や組織ですか。
答え
先進国やNGO。
【解説】
医療支援とは、病院、薬、医師、看護師、薬剤師などの力で、人々の健康を守る支援です。
アフリカでは、病気を防いだり、治療を受けられるようにしたりするために、国際的な支援が行われています。

Q10. 現代のアフリカでは、多くの人々がどこからどこへ移り住んでいますか。
答え
農村から都市へ移り住んでいる。
【解説】
都市には仕事や学校、病院などが集まりやすいため、人々が移り住みます。
しかし、急に人口が増えると、住宅や上下水道、交通などの整備が追いつかないことがあります。

Q11. 都市に移り住んだ人々の多くは、どのような生活をしていますか。
答え
安い賃金で働き、簡単な造りの家に住んでいる。
【解説】
都市に来ても、すぐに安定した仕事や安全な住宅を得られるとは限りません。
そのため、低い賃金で働き、十分に整備されていない住まいで暮らす人々も多くなります。

Q12. スラムとは、どのような場所ですか。
答え
簡単な造りの家が集まり、生活環境が悪い状態にある地域。
【解説】
スラムでは、家が密集し、上下水道や道路などの整備が遅れていることがあります。
人口が急に都市へ集中すると、行政の整備が追いつかず、スラムが広がることがあります。

Q13. アフリカの都市で整備が後れているものとして、本文に書かれているものは何ですか。
答え
上下水道や交通など。
【解説】
上下水道は、安全な水を使い、汚れた水を処理するために必要です。
交通は、人や物を移動させるために必要です。
これらのインフラが不足すると、生活環境が悪くなり、都市の発展にも影響します。

Q14. 都市化が進む一方で、アフリカに急速に広がっているものは何ですか。
答え
スマートフォンなどの情報通信ネットワーク。
【解説】
情報通信ネットワークとは、インターネットや携帯電話などで情報をやり取りするしくみです。
都市だけでなく農村にも広がることで、仕事、教育、医療、商業などに役立つ可能性があります。

Q15. アフリカで環境問題が深刻になっている理由として、本文に書かれているものは何ですか。
答え
食料不足への対応のために森林や草原を農地にしたこと。
【解説】
人口が増えると、食料を多く作る必要があります。
そのため森林や草原を農地に変えることがあります。
しかし、その結果、野生の動植物のすみかが失われ、数が減ってしまうことがあります。

Q16. 森林や草原を農地にしたことは、どのような問題につながっていますか。
答え
野生の動植物の減少。
【解説】
森林や草原は、多くの動植物のすみかです。
それを農地に変えると、動物のすむ場所や植物が育つ場所が減ります。
食料を増やす必要と自然を守る必要の両方を考えることが大切です。

Q17. アフリカ連合、AUは何のために結成されましたか。
答え
共通の問題を協力して解決し、EUを参考にした地域統合も目指すため。
【解説】
アフリカの国々には、貧困、紛争、食料不足、インフラ整備など、共通する課題があります。
一つの国だけで解決するのが難しい問題もあるため、国どうしが協力するしくみとしてアフリカ連合がつくられました。

Q18. アフリカ連合、AUが結成されたのは何年ですか。
答え
2002年。
【解説】
アフリカ連合は、アフリカの国々が協力して発展を目指すための組織です。
EUを参考にして、地域全体で問題を解決しようとしています。

Q19. 欧米の国々や中国は、アフリカに対してどのような援助を行っていますか。
答え
食料や、開発のための援助。
【解説】
食料支援は、食料不足に苦しむ人々を助けるための支援です。
開発のための援助は、道路、電気、水道、学校、病院などを整えるための支援です。

Q20. 日本は、アフリカに対してどのような支援を行っていますか。
答え
道路や水道、電気といったインフラの整備や、学校、病院の建設、稲作の普及などに、資金や技術を援助している。
【解説】
インフラとは、人々の生活や産業を支える基盤のことです。
道路、水道、電気が整うと、生活が便利になり、産業も発展しやすくなります。
学校や病院の建設は、教育や医療を支える大切な取り組みです。

Q21. 一方的な支援だけでなく、アフリカとの間で盛んになっている交流は何ですか。
答え
音楽などの文化を通じた交流。
【解説】
支援というと、お金や技術を送ることだけを考えがちです。
しかし、文化交流を通してお互いを知り、対等な関係をつくることも大切です。

Q22. ルワンダは、どのような問題をかかえていましたか。
答え
鉱産資源にめぐまれず、1994年の紛争で多くの人命が失われ、発展に大きな問題をかかえていた。
【解説】
ルワンダは資源が少ないうえに、紛争によって多くの人々が犠牲になりました。
そのため、国を立て直し、発展させることが大きな課題でした。

Q23. ルワンダ政府は、発展のために何に力を入れましたか。
答え
インターネットが使える環境を整えること。
【解説】
インターネット環境を整えると、情報を得たり、仕事をしたり、教育や産業を発展させたりしやすくなります。
資源が少ない国でも、ICT産業を伸ばすことで発展を目指すことができます。

Q24. ルワンダでは、通信環境の整備によってどのような変化が起こりましたか。
答え
国土の全域に光ファイバーのケーブルが張りめぐらされ、80%の国民に携帯電話が普及するまでになった。
【解説】
光ファイバーは、大量の情報を速く送るための通信設備です。
携帯電話が普及すると、人々は遠くの人と連絡したり、情報を集めたりしやすくなります。

Q25. ルワンダの経済発展によって、どのような人々が祖国に戻るようになりましたか。
答え
紛争からのがれてヨーロッパなどにいた人々。
【解説】
経済が発展し、治安がよくなると、国外に逃れていた人々も戻りやすくなります。
その人たちは海外で身に付けた技能を生かして、国の発展に貢献することができます。

Q26. ルワンダに戻った人々は、どのような産業の成長に貢献していますか。
答え
ICT産業。
【解説】
ICT産業とは、情報通信技術を使った産業のことです。
インターネット、通信、コンピューターなどに関わる産業で、現代の発展にとても重要です。

Q27. アフリカで見られる課題と、行われている支援を結び付けて説明しなさい。
答え
アフリカでは、紛争や内戦、食料不足、医療不足、都市の生活環境の悪化、インフラ整備の遅れなどの課題が見られる。
これに対して、先進国やNGOは難民支援や医療支援を行い、日本も道路、水道、電気、学校、病院の整備や稲作の普及などを資金や技術の面で援助している。
【解説】
この問題では、課題だけを書くのではなく、それに対してどのような支援が行われているかを結び付けることが大切です。
たとえば、食料不足には食料支援や稲作の普及、医療不足には医療支援、都市問題にはインフラ整備が関係します。
アフリカの発展は、アフリカの国々の努力だけでなく、国際的な協力とも結び付いています。