[仮説2]気温上昇で孵化が早まり、梅雨に重なったことで、孵化できる卵が増えた。
私たちは、クマゼミを含む四種のセミに産卵させ、卵を野外に置いて観察した。図6を見てほしい。
この観察をしたのは二〇〇七年のことだが、より気温が低かった一九六〇年代には、梅雨明け後にようやく孵化の準備が整い、その後に雨に恵まれずに死んでいく卵がさらに多かったことになる。
つまり、気温上昇で孵化が早まり、梅雨に重なったことは、クマゼミ増加の原因の一つと考えられる。
ただ、 ②梅雨の期間に孵化が終わる点では、他のセミのほうが依然として有利だ ↩ 問題へ戻る 。
クマゼミが増えた原因ではあっても、クマゼミだけが増えた原因とはいえない。
[仮説3]ヒートアイランド現象による乾燥と地表の整備による土の硬化
大阪市内では、なぜクマゼミの占める割合が、これほど高くなったのか。
私たちは、幼虫が「②孵化して土に潜る段階」に注目した。
[仮説2]でも述べたとおり、雨が降ると土がぬかるんで軟らかくなり、幼虫が地面に潜りやすくなる。
しかし、都市化の進んだ大阪市内では、地表の大半が舗装されており、セミは地面に潜れない。
さらに、公園などに残された土も、人の足で踏み固められ、ヒートアイランド現象の影響で乾燥しきっている。
雨が降っても、野原や森林の土のように、ぬかるむことはない。
私たちは、図1に示した抜け殻調査をする際に、それらの地点の土の硬さも測定していた。
その結果、クマゼミが A 市内の公園は土が硬く、クマゼミが B 市外の緑地や森林は土が軟らかいことがわかった。
私たちは、この違いに注目し、次のような仮説を立てた。
[仮説3]クマゼミの幼虫は土を掘る力が強く、ヒートアイランド現象による乾燥と地表の整備によって硬化した地面にも潜ることができる。
この仮説を検証するために、私たちは、セミの幼虫が土に潜る能力を実験で比較した。まず、四段階の硬さに押し固めた土を用意して、そこに孵化したばかりの幼虫を入れた。
一時間以内に潜れるかどうかを観察した。
結果が図7である。
乾燥と地表整備で、他のセミが潜れなくなるほど硬くなった地面にも、クマゼミだけは潜ることができる。
③ これ ↩ 問題へ戻る が、大阪市内でクマゼミの占める割合が高まった原因と考えられる。
まとめ
以上のことから、大阪市内でクマゼミの占める割合が高まった背景には、都市部におけるヒートアイランド現象の影響があることが明らかになった。
ただし、冬の寒さの緩和は関係がなかった。
私たちの検証の範囲で関連が認められるのは、気温上昇で孵化の準備が早まり、梅雨と重なってクマゼミの孵化率が向上したこと、そして、ヒートアイランド現象による乾燥や地表整備で硬化した都市部の土に潜る能力が他のセミと比べて圧倒的に高かったことの二点である。
(1)
――― 線①「孵化が遅いクマゼミだけは、孵化する時期の後半に梅雨が明けてしまった」
とあるが、これはどういうことを表しているか。
次の文の□にあてはまる言葉を、文章中から十五字で抜き出せ。[1]梅雨が明けると雨が少ないので、□□卵があること。
答え
孵化できずに死んでいく
【解説】
クマゼミは孵化が遅いため、梅雨が明けたあとに孵化する卵があります。雨が少ないと幼虫が土に潜りにくく、死んでしまうため、この言葉が入ります。
【解説】
クマゼミは孵化が遅いため、梅雨が明けたあとに孵化する卵があります。雨が少ないと幼虫が土に潜りにくく、死んでしまうため、この言葉が入ります。
(2)
――― 線②「梅雨の期間に孵化が終わる点では、他のセミのほうが依然として有利だ」
とあるが、その理由として最も適当なものを次の中から選び、記号で答えよ。[2]
ア 他のセミは、孵化が梅雨までに終わり、必然的に孵化数は多くなるから。イ 他のセミは、梅雨の期間中に全ての卵が安全に孵化を終えるから。
ウ 他のセミは、孵化する期間中には梅雨の雨に当たることがないから。
エ 他のセミは、梅雨の時期に一度に多くの卵が孵化することができるから。
答え
エ
【解説】
梅雨の時期は雨が多く、土が軟らかくなるため、孵化した幼虫が土に潜りやすくなります。他のセミはその時期に多く孵化できるので有利です。
【解説】
梅雨の時期は雨が多く、土が軟らかくなるため、孵化した幼虫が土に潜りやすくなります。他のセミはその時期に多く孵化できるので有利です。
(3) 大阪市内でセミが土に潜れない状態になっているのはなぜか。文章中の言葉を使って、理由を二つ答えよ。[3][4]
答え
地表の大半が舗装されており、セミは地面に潜れないから。
公園などに残された土も、人の足で踏み固められ、ヒートアイランド現象の影響で乾燥しきっているから。
【解説】
都市化によって地面が舗装されると、幼虫は土に潜れません。また、残った土も踏み固められたり乾燥したりして、潜りにくくなっています。
公園などに残された土も、人の足で踏み固められ、ヒートアイランド現象の影響で乾燥しきっているから。
【解説】
都市化によって地面が舗装されると、幼虫は土に潜れません。また、残った土も踏み固められたり乾燥したりして、潜りにくくなっています。
(4) A・Bには「多い」「少ない」のどちらかがあてはまる。それぞれどちらがあてはまるか答えよ。[5][6]
答え
A 多い
B 少ない
【解説】
大阪市内の公園は土が硬く、クマゼミが多い場所です。一方、郊外の林など土が軟らかい場所では、クマゼミが少ないことが本文の流れから分かります。
B 少ない
【解説】
大阪市内の公園は土が硬く、クマゼミが多い場所です。一方、郊外の林など土が軟らかい場所では、クマゼミが少ないことが本文の流れから分かります。
(5)
――― 線③「これ」
が指しているのはどのようなことかを、文章中の言葉を使って答えよ。[7]
答え
雨が降っても、野原や森林の土のように、ぬかるむことはないこと。
【解説】
「これ」は直前の内容を指します。大阪市内の土は硬く乾燥しているため、雨が降っても野原や森林の土のように軟らかくならないということです。
【解説】
「これ」は直前の内容を指します。大阪市内の土は硬く乾燥しているため、雨が降っても野原や森林の土のように軟らかくならないということです。
(6) 図7のア〜エのうち、クマゼミの幼虫の結果を表しているのはどれか。記号で答えよ。[8]
答え
ア
【解説】
本文には、クマゼミは他のセミと比べ、硬い土に潜る能力が圧倒的に高かったとあります。したがって、硬い土でも潜る割合が高いグラフを選びます。
【解説】
本文には、クマゼミは他のセミと比べ、硬い土に潜る能力が圧倒的に高かったとあります。したがって、硬い土でも潜る割合が高いグラフを選びます。
(7) 大阪市内でクマゼミの占める割合が高くなった理由を次のようにまとめた。a〜dにあてはまる言葉を、□に合わせて文章中から抜き出せ。[9]〜[12]
ヒートアイランド現象によるaで孵化が早まり、梅雨と重なってクマゼミのbが向上したこと。
ヒートアイランド現象による乾燥や地表の整備によってcした地表でも、クマゼミのdが他のセミに比べて高かったこと。
a
b
c
d
答え
a 気温上昇
b 孵化率
c 硬化
d 土に潜る能力
【解説】
クマゼミが増えた理由は二つあります。一つ目は、気温上昇で孵化の準備が早まり、梅雨と重なって孵化率が上がったことです。二つ目は、硬くなった都市部の土にも、クマゼミの幼虫は潜る能力が高かったことです。
b 孵化率
c 硬化
d 土に潜る能力
【解説】
クマゼミが増えた理由は二つあります。一つ目は、気温上昇で孵化の準備が早まり、梅雨と重なって孵化率が上がったことです。二つ目は、硬くなった都市部の土にも、クマゼミの幼虫は潜る能力が高かったことです。
