翌日、学校に行く途中で、同じクラスの吉井と今村に会った。初めはどうしようかと思ったけど、馬も飲んでしまうでっかいアナコンダや、三メートルもあるナマズの話はおもしろかったし、氷の惑星の話も、本当だったらきれいだろうなと思ったから、つい
①吉井や今村にその話をしてしまった
↩ 問題へ戻る
。二人は僕の話が終わると顔を見合わせて、「ありえねえ。」「証拠見せろよ。」と言った。「そんなほら話、小学生でも信じないぞ。」そう言われればそうだ。だから、部活が終わって大急ぎで家に帰ると、僕は真っ先にぐうちゃんの部屋に行って、「昨日の話、本当なら証拠の写真を見せろよ。」と無愛想に言った。
ぐうちゃんは少し考えるしぐさをして、「そうだなあ。」と言って、目をパチパチさせている。
「これまで撮ってきた写真をそろそろちゃんと整理して紙焼きにしないと、と思っているんだ。そうしたらいろいろ見せてあげるよ。」
②むっとした ↩ 問題へ戻る 。「そんな言い逃れをするぐうちゃんは好きではない。なんかぐうちゃんに僕の人生が全面的にからかわれた感じだ。吉井や今村に話をした分だけ損をした。いや ③失敗した ↩ 問題へ戻る 。僕までほら吹きになってしまったのだ。
それから夏休みになってすぐ、ぐうちゃんはいつもより少し長い仕事に出た。関東地方の各地の川の測量をするということだった。僕は、人生を全面的にからかわれて以来、あまりぐうちゃんの部屋に行かなくなっていたから、気にも留めなかった。
夏休みも終わり近く、いつものように週末に帰ってきた ④父と母が話している ↩ 問題へ戻る のが、風呂場にいる僕の耳にも入ってきた。
「僕たちは、都市のビルの中にいるからなかなか気がつかないけど、由起夫君は若い頃に世界のあちこちへ行っていたから、日本の中にも僕たちが気づかないことがいっぱい見えているんだろうね。なんだか羨ましいような気がするな。」
⑤母 ↩ 問題へ戻る は、珍しくビールでも飲んだらしく、いつもよりもっと強烈に雄弁になっている。
「あなたは何をのんきなことを言っているの。由起夫が、いつまでもあっちこっち気ままな暮らしをしているのを見ていると、悠太に悪い影響が出ないか心配でしかたがないのよ。例えば極端な話、大人になっても毎日働かなくてもいいんだ、なんて思って勉強の意欲をなくしていったとしたら、どう責任取ってくれるのかしら。」
父が何かを答えているようだったが、はっきりとは聞こえなかった。ただ、僕のことでぐうちゃんが責められるのは少し違う気がする。そう思うと、電気の消えたぐうちゃんの部屋が急に寂しく感じられてきた。
椎名 誠「アイスプラネット」より
(1) ___線①「吉井や今村にその話をしてしまった」について、答えなさい。
①「その話」とありますが、何についての話をしたのですか。文中から五字以内で三つ抜き出しなさい。
②「その話」を聞いた「吉井や今村」は、どのような反応をしましたか。次から一つ選び、記号で答えなさい。
ア おもしろい話だと感心し、熱心に写真を見たがった。
イ ありえないし、小学生でも信じないほら話だとあきれかえった。
ウ そんなほら話を聞かせて何のつもりだと怒り出した。
(2) ___線②「むっとした」とありますが、それはなぜですか。「ぐうちゃんが」に続けて、十五字程度で答えなさい。
(3) ___線③「失敗した」とありますが、「僕」はなぜ失敗したと思ったのですか。
(4) ___線④「父と母が話している」内容について、答えなさい。
①「父」は、ぐうちゃん(由起夫君)の生き方をどう思っていますか。文中から十一字で抜き出しなさい。
②「母」は、ぐうちゃん(由起夫)の暮らし方から、どのようなことを心配していますか。文中の言葉を用いて答えなさい。
(5) ___線⑤「母」の言葉を聞いた「僕」は、どのようなことを思い、どのような気持ちになりましたか。まとめて答えなさい。
ぐうちゃんは少し考えるしぐさをして、「そうだなあ。」と言って、目をパチパチさせている。
「これまで撮ってきた写真をそろそろちゃんと整理して紙焼きにしないと、と思っているんだ。そうしたらいろいろ見せてあげるよ。」
②むっとした ↩ 問題へ戻る 。「そんな言い逃れをするぐうちゃんは好きではない。なんかぐうちゃんに僕の人生が全面的にからかわれた感じだ。吉井や今村に話をした分だけ損をした。いや ③失敗した ↩ 問題へ戻る 。僕までほら吹きになってしまったのだ。
それから夏休みになってすぐ、ぐうちゃんはいつもより少し長い仕事に出た。関東地方の各地の川の測量をするということだった。僕は、人生を全面的にからかわれて以来、あまりぐうちゃんの部屋に行かなくなっていたから、気にも留めなかった。
夏休みも終わり近く、いつものように週末に帰ってきた ④父と母が話している ↩ 問題へ戻る のが、風呂場にいる僕の耳にも入ってきた。
「僕たちは、都市のビルの中にいるからなかなか気がつかないけど、由起夫君は若い頃に世界のあちこちへ行っていたから、日本の中にも僕たちが気づかないことがいっぱい見えているんだろうね。なんだか羨ましいような気がするな。」
⑤母 ↩ 問題へ戻る は、珍しくビールでも飲んだらしく、いつもよりもっと強烈に雄弁になっている。
「あなたは何をのんきなことを言っているの。由起夫が、いつまでもあっちこっち気ままな暮らしをしているのを見ていると、悠太に悪い影響が出ないか心配でしかたがないのよ。例えば極端な話、大人になっても毎日働かなくてもいいんだ、なんて思って勉強の意欲をなくしていったとしたら、どう責任取ってくれるのかしら。」
父が何かを答えているようだったが、はっきりとは聞こえなかった。ただ、僕のことでぐうちゃんが責められるのは少し違う気がする。そう思うと、電気の消えたぐうちゃんの部屋が急に寂しく感じられてきた。
椎名 誠「アイスプラネット」より
(1) ___線①「吉井や今村にその話をしてしまった」について、答えなさい。
①「その話」とありますが、何についての話をしたのですか。文中から五字以内で三つ抜き出しなさい。
答え
アナコンダ
ナマズ
氷の惑星
【解説】
「その話」は、アナコンダやナマズ、氷の惑星についての話を指しています。本文中に出てくる言葉をそのまま抜き出します。
ナマズ
氷の惑星
【解説】
「その話」は、アナコンダやナマズ、氷の惑星についての話を指しています。本文中に出てくる言葉をそのまま抜き出します。
②「その話」を聞いた「吉井や今村」は、どのような反応をしましたか。次から一つ選び、記号で答えなさい。
ア おもしろい話だと感心し、熱心に写真を見たがった。
イ ありえないし、小学生でも信じないほら話だとあきれかえった。
ウ そんなほら話を聞かせて何のつもりだと怒り出した。
答え
イ
【解説】
吉井や今村は「ありえねえ。」「そんなほら話、小学生でも信じないぞ。」と言っています。信じていない様子なので、イが正解です。
【解説】
吉井や今村は「ありえねえ。」「そんなほら話、小学生でも信じないぞ。」と言っています。信じていない様子なので、イが正解です。
(2) ___線②「むっとした」とありますが、それはなぜですか。「ぐうちゃんが」に続けて、十五字程度で答えなさい。
答え
言い逃れをしていると思ったから。
【解説】
「僕」は、ぐうちゃんが写真をすぐ見せず、ごまかしているように感じました。そのため腹が立っています。
【解説】
「僕」は、ぐうちゃんが写真をすぐ見せず、ごまかしているように感じました。そのため腹が立っています。
(3) ___線③「失敗した」とありますが、「僕」はなぜ失敗したと思ったのですか。
答え
自分までほら吹きになってしまったと思ったから。
【解説】
ぐうちゃんの話を友達に話したことで、自分までうそを言っている人のように見られたと感じたからです。
【解説】
ぐうちゃんの話を友達に話したことで、自分までうそを言っている人のように見られたと感じたからです。
(4) ___線④「父と母が話している」内容について、答えなさい。
①「父」は、ぐうちゃん(由起夫君)の生き方をどう思っていますか。文中から十一字で抜き出しなさい。
答え
羨ましいような気がする
【解説】
父は、ぐうちゃんが世界のあちこちを見てきたことをうらやましいと思っています。
【解説】
父は、ぐうちゃんが世界のあちこちを見てきたことをうらやましいと思っています。
②「母」は、ぐうちゃん(由起夫)の暮らし方から、どのようなことを心配していますか。文中の言葉を用いて答えなさい。
答え
悠太に悪い影響が出ないかということ。
【解説】
母は、悠太が勉強しなくなるなど、悪い影響を受けることを心配しています。
【解説】
母は、悠太が勉強しなくなるなど、悪い影響を受けることを心配しています。
(5) ___線⑤「母」の言葉を聞いた「僕」は、どのようなことを思い、どのような気持ちになりましたか。まとめて答えなさい。
答え
自分のことでぐうちゃんが責められるのは違うと思い、寂しい気持ちになった。
【解説】
「僕」は、ぐうちゃんが悪く言われるのは違うと感じています。そして、いないぐうちゃんの部屋を見て寂しくなっています。
【解説】
「僕」は、ぐうちゃんが悪く言われるのは違うと感じています。そして、いないぐうちゃんの部屋を見て寂しくなっています。
